※名前変換のファミリーネームに前世の名前を入れてください

 

 

Fly to me

 

 

 

 

月が青く光る真夜中、歌声を聞いて焔はそちらへと足を向けた。

月が映る湖に辿り着いた時、湖に足を浸し座っているを見た。

月を見上げ、歌っている彼女はこちらに気付いているのか、いないのか。

しかし、焔が近付いていくとはクルリとこちらを向いた。

一瞬視線が重なる。

は焔を見てにっと笑った後再び歌い出した。

 

 

 

「……まさかホントに来るとわね〜〜」

 先ほど聞いたフレーズとはまた違うフレーズを歌うとは焔ではなく月を見上げて呟いた。

「何の歌だ?」

 焔はに近付き隣まで来て彼女を見下ろす。

痛いくらいの強い視線を受けてはそれでも平然とした態度で焔を見上げた。

「この間ジープに乗ってたときに流れてたんだ。ラジオでね。メロディーとか歌詞が気に入ってる」

「――俺が聞きたいのはそうでは無くて」

「何の歌だって聞かれてもよく分かんないんだよ。聞く人によって色々思い付くだろうからな。

まあ、どこと無く物淋しくて愛しくなる歌、ってところか」

「……何だ、それは?」

「…知るか」

 本当にこれが恋人同士の会話だろうか。

立っている焔と座っている

視線が合わせ難い上にどこか威嚇し合っているような雰囲気は。

「まあ、仕方ないよ。恋人で敵なんだし」

 焔が溜息を吐くとは面白そうに言ってから焔に隣に座るように促す。

は彼の方を見ずに月を見上げていた。

焔も何も言わずに月を見上げる。

何も言わない、それでいて心地よい沈黙。

それはとても暖かい。

 

 

「焔ってさ、タイミング悪いヤツだよな」

 沈黙を破ったのは

突然の言葉に焔は驚いてに向き直った。

は横目で焔を捕らえると苦笑する。

「よりによってあの歌歌ってるときに来なくてもいいのにさ」

 月明かりでもはっきりと分かる瑠璃の眼を揺らしながら苦笑するの言葉の意味が分からずにいると彼女は焔に顔を向ける。

「あの歌はね。遠くにいる愛しい人に来て欲しいって歌ってるんだよ」

 は焔を真っ直ぐに見て、微笑んだ。

「逢いたかった」

 何のてらいもなくハッキリと思いを伝える彼女に目を見開く。

は言葉を紡ぎ続ける。

「急に焔に逢いたくなって、でも逢えないから。だから我慢しのぎにあの歌歌ってたんだ。そしたら来たんだぜ。吃驚だよ」

 コテンと焔の肩に額を乗せて大きく息をついた。

「――何でだろうね。ホントに急に逢いたくなるんだ。逢いたくて逢いたくてどうしようもなくなる。無理だと分かってても、どうしても…」

「怖いのか?」

 この先に起こることが。

必ず起こるソノトキが。

濃紺の髪を撫でながら囁く。

「ワカンナイ。怖いのか怖くないのか…。でも今は嬉しいし、幸せ」

 逢いたいときに逢いに来てくれたから。

そう答えるに愛しさが込みあがる。

焔はの髪をもう一度撫でる。

大切に、愛しそうに。

 

 

 

 

暫く肩に頭を預けていただったがすっと焔から離れる。

焔も別に何もせずに彼女から手を退かした。

「そういえば、

「……………

 つい前世の名を出してしまった焔をは思い切り睨み付けた。

「すまない」

「いい加減にしろよ。で、なに?」

 苦笑して謝る焔にはやれやれと肩を竦めて会話の先を促す。

「いや、は歌が上手いんだなと思ってな」

 月に照らされて歌う彼女はとても美しくて。

優しかった。

焔の感想には顔を顰めた。

「…あのさ。この状況でそういうこと言うの。やめてくれない?」

「何故?」

 どこか得意げに聞いてくる彼には眉間にしわを寄せたがそのうちにふいっと焔から顔を背けてぼそぼそと呟いた。

「……嬉しくて、舞い上がるでしょうが」

 微笑んで聞いてくる、確信犯。

それでも許してしまうのは惚れた弱みと言うやつなのだろうか?

珍しく赤面しているを愛しそうに見つめてから焔は優しくを抱きしめた。

自分も逢いたくて仕方なかったと囁いて。

 

 

 

 

 

 

Fin

 

 

 

あとがきと言う謝罪

鳴海さん!! 2つ出しの人間を許してください。

そしてこれもどこか変だ!!

ああ、本当にすいません。

題名は鬼塚ちひろの流星群のカップリング曲からお借りしました。

ってか本当に焔か、こいつは?

本当にもう。謝罪しかない。嗚呼!!


一周年に贈ったお話。

鬼塚ちひろのカップいリング曲は素敵なのが多いです。

 

2002.4.26

改稿:2008.5.16

 

 

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