ある日、私は一つのボタンを拾った
それから私は彼の事が気になってしまった
何気ない事、本当に唯の偶然
気になっていなかったはずなのに気になってしまった
私は唯のどこにでもいる女で
あの人はすごく人気があるサッカー部のキャプテン
違いすぎる立場
気づいてもらえるはずもない存在
どうして私はあの人のボタンを拾ってしまったんだろう
早く返さないと…
ー放課後ー
…
どうしよう…
水野君、一人になる事ないよぉ
いくらなんでもみんながいるところで渡せないし…
はぁ…
ん?
あ! そうだ!!
水野君に渡さないで制服に直接縫って返せばいいんだ!
そしたら誰がボタンを返したなんて分からないし…
そうしよう
チャンスはすぐに回ってきた
翌日水野君は上着を教室に置いていってくれたのだ
しかも、誰もいないし…
今なら…
…
……
………
終わったー
直接渡せなかったのが悲しくて
ボタンという接点がなくなるのは寂しいけど
水野君に返せてよかった…
「なかなか返せないでごめんなさい。
それと…直接渡せなくってごめんなさい」
そういうと未練を断ち切るかのように笑って帰っていった
教室の外にいた、人影にも気づかずに…
ー数分前ー
よりによって今日、教室に上着を置いてくるなんて
どうかしているこの後、選抜の練習に行かないといけないのに
…
教室に誰かいる??
あれは…さん?
さんの机は確かあそこだよな?
それに今さんがいる机は俺の机だ
何をしているんだ?
さんの声が聞こえてきた
小さい声だったけど確かに声が聞こえた
その言葉を聞いて即座に理解をした
さんはすごく大人しい
俺のボタンを拾った後、渡そうとしていたけど
渡す事ができなかったんだろう
でも…
気になる予感
ボタンを直接縫い付けてくれるほうが勇気のいる事だと思う
それに…
あんなふうに笑う子だったのか…
知らなかった
あの笑顔を思い浮かべると顔が赤くなる
ひょっとして俺…
そんな事を考えながら顔を赤くしながら、
自分の上着のボタンをみつめる水野がいた
こうして二人はお互いを意識しだす
女の子はサッカー部のキャプテンで綺麗で人気の高い彼を
男の子は大人しくてなかなか気づかれないけど優しい彼女を
二人はお互いを意識しだしたのだった
TWIN WATERの貴夜さんとみちるさんの合作を一周年記念にいただきました。
ヒロインの女の子の何気ない行動に堕ちる水野がとても年相応に見えました。
可愛いお話をどうもありがとうございましたv
2002.4.18