5h;3
ピンポーン。
高嶺家のチャイムがなると、ピクリと清麿のベッドでウトウトしていたフローレが反応した。
しばらく、階下で華が誰かと話をした後、とんとんと階段をゆっくりと駆け上がる足音が聞こえるとフローレはガバッと起き上がり、
ガッシュと清麿を驚かせるのと同時に。
コンコンとドアをノックする音。
「清麿、入って良い?」
聞こえる声は幼馴染のもの。
「ああ」
そわそわしているフローレを見て笑みを浮かべると、清麿は幼馴染を部屋へと招き入れた。
「こんにちは」
部屋に入ってきたのはフローレのパートナー。
「おう」
「こんにちはなのだ」
清麿とガッシュがそれぞれ挨拶を返すなか。
「櫻香」
フローレがとてとてと櫻香に近づくと、彼女はフローレの頭をポンと触った。
「フローレ、良い子にしてた?」
「うん」
二人は笑みを交わすと、櫻香がガッシュと清麿の方を向く。
「ありがとう。フローレと一緒に居てくれて」
「構わないのだ」
元気よく笑ってくれるガッシュ。
「ああ。俺たちならちょうど暇だったし力になれて良かったよ。それで、学校の方はどうだった?」
ガッシュと同じように笑ってくれた清麿の問いに櫻香は頷いた。
「大丈夫、終わらせてきた。折角の半日授業だったのに特別課題だなんてイジメよね」
ため息を吐きつつもにやりと笑う櫻香に先生たちも大変だな、といつかの自分を思い浮かべながら清麿は苦笑した。
そんな清麿に気付いたのか、櫻香は決まり悪そうに小さく舌を出すと、ごそごそと鞄に手を突っ込んだ。
「そうそう、これお土産に持ってきたんだ」
鞄から取り出されたのは、サンドイッチケース。
その中にはサンドイッチではなく、エクレアが入っていた。
「おお、美味しそうなのだ!」
エクレアを見てガッシュとフローレの顔が輝く。
「へぇ。美味そうだな、作ってきたのか?」
ガッシュ同様にエクレアを見て清麿が櫻香に問いかけると彼女は首を横に振った。
「まさか! 昨日親戚がウチに来てね、お土産に貰った物なの。結構量があったしね、お礼もかねて清麿たちにお裾分け」
「清麿! 母上殿からお茶を貰ってくるのだ!」
櫻香がエクレアの入った箱を清麿に渡すのを見て、ガッシュが慌しく部屋を出て行く。
「櫻香、私もお手伝い…」
フローレの言葉に櫻香は笑って頷くと、フローレも楽しそうに部屋を出て行った。
部屋に残ったのは、清麿と櫻香のみ。
「美味そうだな」
「美味しかったわよ」
エクレアを見ながらの清麿の呟きに櫻香が答えると、清麿は驚いたように櫻香の方を見る。
楽しそうに笑う櫻香を見て、清麿も笑った。
「そいつは楽しみだ」
Fin
あとがき
拍手ありがとうございます!
金色のガッシュベルで赤本組&薄紅本組みでした!
2006.2.21