恋愛って…ゲームなのですか?

そしたら勝敗は…

どうやって決めるの?

 

 

 

恋愛ゲーム

 

 

 

「そりゃおめえ。惚れたほうが負けだろ?」

「なんで?」

 麗らかな午後、嫌いな数学の授業が自習になったため私は城之内と一緒に屋上に来ていた。

もちろん、振り分けられたプリントは特大パフェを奢るという条件で杏子に頼んできたのでバッチリ。

城之内は…居残りじゃない?(笑)

まあ、そんなことはともかく私は前々から不思議に思っていたことをポツリと城之内に聞いていたのだった。

何でと聞き返した私を見て城之内は「そりゃぁ…」と答えを探している。

そんな答えに詰まっている城之内にさらに畳み掛ける私。

「てかさ、なんで恋愛がゲームになるの? 恋はいつでも真剣勝負ってのが相場じゃなくって??」

「うーーん」

 城之内、かなり困ってる。

ガシガシと色素の薄い髪を掻き回して。

ちょっとイジメ過ぎたかな。

そう思って薄く笑っていると城之内がポンと手を叩いた。

そしてにこやかな顔で私を見る。

「確かに恋は真剣勝負になるかもしれねぇけどな、。真剣だからこそゲームになるんじゃないか? ほら、勝負って付くし」

 城之内はにっとどこか勝ち誇ったかのように笑い、話を続ける。

「相手の様子を見てその状況に合った行動を選んで相手の出方を窺う。

もしそれで好印象が与えられればコッチはかなり有利になるだろ?

もし相手が不快に思っちまったらそれをフォローするために今度は違う方法でこっちに有利にさせる。

相手だけを見て他には目も向かない。

真っ直ぐに一瞬の隙も見せずに相手だけを見る。そして、相手が何か行動に出たらすかさずコッチも動く。

これってさ、真剣だけど、やっぱりゲームみたいなもんだぜ。相手との駆け引きなんて、これはもう絶対ゲームだって」

「……なんかそれってどことなくM&Wっぽいわね」

「あー、そうかもな」

 城之内が言った言葉に呆然として私が今彼がハマっているゲームの名を言えば、彼は嬉しそうに頷いた。

……ちょっと胸が痛いのは、気のせいにしたい。

「でも、デュエルは相手のライフが0になったら勝負が決まるけど、恋愛ってどうやったら勝負が付くのか解らないじゃない」

 そう、私が聞きたいのはこれ。

別に恋愛がゲームだろうとなんだろうと、それはその当人同士の考え方なんだからべつにどうでもいいの。

でも、もし、恋愛をゲームとして考えるのなら…。

「どうして惚れたほうが負けになるのよ?」

 …なんかようやく回りに回った話が戻ってきたって感じだわ。

城之内はさっきまでの満面の笑みを消して再び困ったような顔をする。

「なんでだろうな〜。惚れた弱みって言う言葉があるからじゃねぇ? 」

 腕を組んでう〜〜んと唸る城之内。

……そんなに真剣に考えちゃって。

いえ、そんな質問を出したのは私ですけどね。

「私に惚れたクセにって言われっと、なんか弱くなるって言うか…」

 城之内の言葉に私はちょっと頷いた。

自分より先に惚れたクセにと言われると、どこか弱みを握られたように感じる。

何でだろうね、これは。

でも…やっぱりこういう場合は…。

「…?」

 黙ってしまった私を城之内が声をかける。

そんな城之内に私はポツリと言っていた。

「恋愛ゲームは、惚れたほうが勝ちでしょう」

 

 

私の言葉を聞いてはぁ?という顔をする城之内。

私は彼を見て主張した。

「だって先に惚れたってコトは、 相手よりも沢山好きっていう思いを持ってるってコトでしょ? 

それって凄く大切なことじゃない。それだけその人を大切にして、その人を支えて行こうって言う気持ちがあるってコトだもの。

後から惚れた人より、その気持ちがある分、私は、先に惚れた人が勝ちだと思うわ」

 「先に惚れたクセに」って言われるけど、でもその分、「先に惚れた分だけ、僕は君を愛してる」って言われれば…

うわぁ、自分で考えてる以上に恥ずかしい!

そう考えると…うん、やっぱり恋愛ゲームは先に惚れた人の方が勝ちだわ。

そう一人悶々と考えを巡らしている私に城之内がぷっと吹き出した。

そして私と目が合うと大いに馬鹿笑いをしてくれた。

「ぶははははははは!! お前ナニ百面相してんだよ!!」

「うっ、うるさいわね! 別にいいじゃない! 私がどんな表情してようと!」

 微妙に頬が熱いので手で風を起こしてなんとか冷まそうと頑張っていると。

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺の勝ちだな」

 

小さな呟き。

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

私が城之内を見ると彼はデュエルをしているときのような真剣な眼差しを向けていた。

 

 

 

 

 

 

暫く、真剣な彼を見ていれば、彼は急にニッと笑い、

 

 

 

 

「オレととの恋愛ゲーム。先に惚れたオレの勝ちってコト」

 

 

 

 

 

 

そんなことを言ってくれたものだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

私が顔を赤くして泣き出して城之内を困らせてしまったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからすぐのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも城之内、恋愛ゲームの勝敗って結構付けるの難しいわね。

だって、この恋愛ゲーム。

私が先に貴方に惚れてたとばかりに思ってたんだから。

ホント、どっちが先に惚れたのか。

あとで話してみましょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

Fin


あとがき

私的夢100のお題11『恋愛ゲーム』でした。

ゲームといったら遊戯王で、遊戯王で私がいっちゃんイイ男と思っている城之内君に出ていただきました。

(同着で表の遊戯君次点に本田君辺りか?……アレ、海馬と闇様は(笑))

城之内「お前、これずっげー意味不明だぞ。いいのかよ、こんなん出して」

あ〜〜、やっぱ?

でもさ、こう思ったのはホント。

惚れたほうが負けって言うのも解るけど。でもさ、その分の持ってたってことはその分相手への思いが多いってことだから、やっぱり勝ちじゃない?

城之内「量の多さかよ?」

う〜〜ん…?

城之内「おまえなぁ」

はっ! 殺気!!

逃走じゃ!!!

だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!

城之内「あっ! 逃げやがったな!! ったく噂に聞いてた通り逃げ足の速いヤツだぜ」

 

城之内「、今度どっちがゲームに勝ったか決めようぜ。ま、オレの勝ちは決まってると思うけどな☆」

 

 

2003.4.30

 

 

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