さあ、いい子にしてるかな?
天蓬は悟空を見て首を傾げる。
そして太真を見た。
「一体…どうしたんですか?」
と聞けば、太真は困ったように笑う。
「金蝉様のお部屋にいればどうしてもイタズラや仕事の邪魔をしたくなるだろうと言って…」
「…それで、こんな早朝に…」
天蓬は未だにハッキリしていない頭を掻いた。
実を言うと結構ツライ。
本に没頭して貫徹しているのだ、天蓬は。
さて、寝るかというときに聞こえたノックの音。
誰かと思って戸を開けば、そこには太真と彼女と手を繋いでいる悟空の姿が。
そして、話は冒頭に繋がるのだ。
太真は天蓬の様子を見て一瞬で彼が寝ていないことに気付いた。
「お休みになられた方がよろしいですわ」
心配そうに見上げられて天蓬は頷く。
「そうしたいのはやまやまですけどねぇ…」
「大丈夫です。天蓬様が起きるまで私が悟空を大人しくさせていますから」
何か言いたそうな天蓬の表情に太真はにこりと笑って答える。
彼は悟空と太真を交互に見て首を傾げる。
訝しげな天蓬を見た太真は悟空を呼ぶ。
「悟空」
「なに? 太姉ちゃん」
とてとてと太真に近付く悟空。
悟空が近くに来れば太真はしゃがんで悟空と視線を合わせる。
「悟空、天蓬様はこれからお休みになられるそうですから、大人しくしてましょうね」
「天ちゃん、寝るの?」
首を傾げて聞けば、太真は頷いた。
「ええ。悟空はいい子ですから五月蠅くしませんわよね?」
ニコッと笑う。
悟空はすぐさま頷いた。
「うん! 天ちゃん、俺うるさくしないから寝てていいよ!!」
にぱっと顔を輝かせて言えば天蓬が面食らった表情を浮かべる。
そして驚いたように太真を見れば彼女は苦笑するだけであった。
何か引っかかりを覚えるもそれ以上に睡魔が襲ってくるのに敵わなくて。
(まあ、後で教えてもらえばいいですかね)
と一人決めて、天蓬は近くにおいてあるソファーへと身体を沈めた。
捲廉は目を丸めた。
「サンタさん〜〜?」
「ええ」
太真は捲廉の表情が楽しかったのかクスクス笑っていた。
そして、今までの経緯を全て話す。
クリスマスのこと、サンタクロースのこと。
話を聞いて天蓬が頷いた。
「それでさっき…」
「ええ。早朝から天蓬様のお部屋に来たのも五月蠅くしないと言ったのも…」
「サンタさんからのプレゼントが欲しいからってワケか…」
捲廉が外を見る。
外には中にいて本を読み飽きた悟空が中庭を走り回っている。
「金蝉のヤツ、心配してたぜ。悟空が朝早くから天蓬の部屋に行くって言ってたから何かあったんじゃねぇかって」
「金蝉様にも、ご迷惑をおかけしてしまったようですわね」
「そんなことはない」
申し訳なさそうに言った太真に向かって声をかけたのは金蝉だった。
「金蝉様。お仕事は終わったのですか?」
太真が驚いて聞くと頷いた。
「ああ。悟空がいなかったからな、早く終わった。…天蓬には迷惑をかけたようだが」
金蝉は天蓬の方を向けば天蓬は笑っていた。
「そんなにかけてませんよ。僕が起きるまで大人しくしててくれましたし」
「ま、これもクリスマスまでのことだけどな」
「そうですわね」
ニヤッと笑う捲廉の言葉に太真はふわりと笑った。
そして、ポンと掌を叩いた。
「そういえば、クリスマスイブのとき天宮で内輪だけの宴を行うという話になったんです。よろしかったら、どうですか?」
クルリと金蝉たちを見る。
彼らは顔を見合わせ、天蓬が聞いてきた。
「内輪だけなんでしょう? 僕らが行ってもよろしいんですか?」
「内輪だからこそ、あなた方に来ていただきたいのです」
真剣な表情を浮かべる。
その言葉の意味は否応なく3人に伝わった。
普通の宴ならば悟空を連れて行けない。
何が起こる解らないのだ。
常に危険が伴ってくる。
その分、天宮での内輪だけの宴ならばそんなに気を張ることもないし、悟空を連れて行っても安全だ。
天宮の女天仙だちは悟空を大切にしてくれている。
金蝉は天蓬と捲廉を見る。
2人が笑みを返せば金蝉も薄く笑った。
太真を見て頷く。
「頼めるか?」
太真はふわっと笑った。
「もちろんですわ」
本当に嬉しそうに笑う太真を見てふと天蓬が思ったことを口にした。
「太真」
「はい?」
「悟空が欲しいプレゼントってなんですか?」
「それはですね…」
To Be Continue…
あとがき
微妙に重くなってしまった〜〜〜〜(反省)
やっぱり天界編は重くなってしまう宿命なのか〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
天蓬「はいはい、落ち着きましょうねv」
…ハートマークはやめましょうよι
天蓬「ところで悟空は本当に何が欲しいんでしょうね」
………あとのお楽しみってことでvv
2002.12.21