私達の日常
何かここ桃源郷で異常事態が発生したらしく、あたしたちは旅を始めた。
ジープに揺られながら荒野を西に走る、そんな旅。
「腹減った〜」
何時もの調子で彼の声。
「うるせぇな、バカザル」
これもいつもの調子で言うのが1人。
「バカってゆーな、エロがっぱ!」
「お〜、ほんとのことだろ?」
「何〜〜〜!!」
これまたいつもの調子で始まる。
あ〜あ、お前ら、そんなことしてると来るぞ。
いつものアレ
「てめぇら!いい加減にしやがれ!!」
スッパァーン!
あー、来たかぁ…。
相変わらずいい音だよな。
「イッテーな、何すんだよ、この鬼畜坊主!」
「そうだ、暴力タレ目!」
「煩いと何度言ったら分かるんだ! お前等は!」
…頼むから、あたしの隣で暴れないで。
「まあまあ、いつものことでしょう。隣の人が嫌そうな顔をしてますよ? そろそろ、止めて下さいね」
あたしの前のにこにこ顔のお兄さんがいつものよう言う。
何かを含んだその声で。
これを聞いて即座に3人は大人しく座り直す。
何もかもがいつもとおんなじ、でもあたしはこの光景が好きだったりする。
くすくす笑うあたしに隣の金色の目をした彼がぶすっとした声で言う。
「なにがおかしいんだよ」
「ああ。ごめん。でもさ、いつも同じコトやってておかしくねぇの?」
「仕方ないだろ? ここ2、3日ずっとジープ乗ってんだぜ。俺もいい加減ウンザリよ?
早く街に行きてぇよ」
紫煙を見ながら赤い髪の男が本当にうんざり顔になる。
まあ、彼の場合、町にいる女の人が恋しいんだと思うけど。
「お前の場合、町にいる女が恋しいんじゃないのか」
あたしが思ってたことを金髪の美丈夫が言った。
「お、わかってんじゃん」
にっと笑う男を見ると金髪美人様は重いため息をひとつ。
あはははっと笑ったら、睨まれた。
ゴメンゴメン。
「それじゃあ、はやく街に行きましょうか。水も食料も底をついてきましたしね」
あたしの前でジープを運転している人が言う。
「当たり前だ」
金髪美人様、不機嫌に言う。
「次の街はもうすぐなの?」
あたしは運転手の横に顔を出す。
「ええ。もうすぐのはずですよ」
「あ、あれじゃねーの?」
「あ、ほんとだ。見えてきた」
「ようやくまともに寝れる」
「おっきいー街」
あたしたちはいつも噛み合わない。
ま、そこがいいんだけどね。
みんな自分に正直な証拠だから。
いつも同じ、あたしたちの日常。
でも何処か違う、あたりまえかな?
だって、あたしたちは確実に前に進んでるんだから。
Fin
静夜で書いた最初の最遊記。
すごく変、でもハツだったんだから、許して〜〜〜〜(T_T)
静夜「確かにひでーな。ま、こんなんんでも読んでくれてありがとうです」
2001.4.2
改稿 2005.11.5