さあ!

準備はイイかい?

息をつく暇もないその旅を

君が見つけるんだ!!

 

 

 

 

 

RELOAD?  RELOAD!!!

 

 

 

 

「どうしてこんなに知名度が上がるんだよ〜〜〜!!」

 ジープに乗りながら静夜が不貞腐れたように大声を放つ。

カミサマの一件が終わった頃から西へ向かう三蔵一行の話が広がりだしたのだ。

いまや深くマントを纏い、グラサンをかけ偽名を使わなければ平穏に町で過ごせなくなってしまっていた。

「うるせぇぞ」

「だってさ! ここんところずっとそうじゃん! 町に入ればたちまちヒト人ひと!!!

三蔵様がおいでになったって五月蠅い事この上ないじゃないか」

「俺はお前以上に不本意なんだぞ」

「そんなの分かってるよ。三蔵様なのはソッチだし」

「………分かってるんならイチイチ言うんじゃねぇよ」

 三蔵法師という名は力を持たない者達にとって、畏怖の象徴である。

神に近い存在として敬われえるのは当然であるのだが…

「あたしたちがいることで町に大きな被害が及ぶ」

 妖怪を退治してくれると言う名目で三蔵が敬われているのだ。

しかし、実際はその逆。

妖怪が自分たちを追っているのだ。

 

 

 

 

 

三蔵の持つ天地開元経文が一つ魔天経文。

 

 

 

 

 

 

それを狙い襲い掛かってくる妖怪たち。

荒野なら別に問題はない、しかし、街の場合はその被害は自分たちならず他の人間も巻き込むことになる。

ヒトはヒト、自分は自分を根底に置いている三蔵たちではあるが流石に自分たちが被害で元になるのは気分が悪いし。

何より妖怪を相手にするのは面倒くさい。

だからマント姿でグラサンをしようとしたのだが。

「アレじゃあ余計に目立つんだよな」

 と言う静夜の感想が的を得ていたことを実証されたのがついこの間のことであった。

 

 

 

 

 

激しい砂塵の風に見舞われていたため静夜の結んである髪が解けそうになった。

静夜は舌打ちをして髪留めを外すともう一度髪を結わえ直し始めた。

それを見ていた悟浄が声をかける。

「静夜、本当にその髪留め好きだよな」

「え? ああ、まあね。好きだよ。色合いとか気に入ってるんだ。丈夫だし」

「せっかくイメチェンしたんだから、それも代えればヨカッタんじゃねぇの?」

 静夜の格好は前の物と少し変わっている。

前の物も似合っていたが今来ているものも静夜に似合っている。

動きやすさを重視している為そこら辺の少女が着るような物ではないのだが、少年を彷彿とさせる静夜には似合っていた。

カミサマとの戦いで随分とボロボロになった服を多少なりとも代えたのだ。

三蔵は代わりの袈裟がありそれを着ることにし、悟空もズボンの裾を八戒に切ってもらっただけだった。

八戒も上着を少し変えただけ、悟浄に関しては上着をジャケットにしただけだった。

「なるべく出費は抑えたいですからね」

 と事実上、一行の財布を握っている八戒の弁であった。

 

 

 

 

静夜は手にしている髪留めを見てから悟浄のほうを向いた。

「別に良いじゃん。イメチェンって言うよりもただの補充みないなモンだろ? 髪留めまで変える必要はないよ。それこそ出費だし」

 静夜の台詞に悟浄は薄く笑いながら頷いた。

「ま、そうだな」

 女性としての自覚がないためか、はたまたこの旅の過酷さを充分に理解しているためか、――おそらく前者であろう――静夜はそれこそ

普通の女性では考えられないことを平気で言う。

それも、彼女が彼女たる所以なのだが。

悟浄は苦笑いを浮かべてから、静夜から目を放しシートに座った。

悟浄が座ったのと同時に悟空が八戒に声をかける。

「八戒。次の街まであとどんくらい?」

「そうですね。このまま順調に行けば夕方にはつきますよ」

「じゃあ夕飯に間に合う!?」

 キラキラと目を輝かせた悟空を見て悟浄がいつものように、

「おーおー、食欲ザルは元気だな」

「なんだよ。悪いかよ!!」

「お前がもう少し食事を制限すりゃ、いいんだよバカザル!!」

「バカっていうな変態エロガッパ!!」

「なんだとこのクソチビザル!!」

「なに〜〜〜!!!」

「うるせえ!!!」

 バシンバシン!!

ハリセンの音が響く。

「ってー、なにすんだよ、三蔵!!」

「相変わらずそんなもんで殴るんじゃねぇ!!」

「イチイチ毎度毎度うるせぇんだよ!! いつか殺す!! っつか今殺してやる!!」

「「ギャーーーー!!!」」

 毎度の行動パターンに八戒はあははとのんきに笑い、静夜は大きく息をついた。

その表情は穏やかだったが。

 

 

 

 

 

どんなことがあっても

何が起こっても

私たちは変わらない

己らしく生きる

その道へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RELOAD……START!!


あとがき

最遊記RELOAD最初のSSは毎度の話です。

八戒「久々に書いたものが、これですか?」

ビクッ!! 八戒さん目が笑ってないっす。

悟浄「一周年入って最初の話がこれか〜?」

悟空「意味不明だぞ。これ」

あうう〜〜〜!! 最初はみんなの服の話をしたかったんだけど…どこでどう間違えたんだろ?

三蔵「…カクゴはいいな?」

――――――――だっしゅっっっっっっっっっっっっつーーーーーーーーーーー!!(逃亡)

「「「「……ゼッテー消す」」」」

 

 

 

2002.4.20

 

 

 

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