始めまして

 

 

 

「静夜、今日付き合ってよ!!」

 本を揃えている静夜の横にいる明蓮は手を合わせていた。

「また!? この前もそういってたじゃない」

「そんなこと言わないで、人数少ないのよ〜〜〜!!」

「イヤよ、めんどくさい」

「お願いー!!」

 必死に頼む明蓮を見てため息を吐く。

そして腕時計を見ると目を見開く。

「あ! いけない!! 明蓮、あたしもう帰る。電車間に合わなくなっちゃう!!」

 そういって明蓮の返事を聞かないうちにかばんを引っつかんで静夜は走って行った。

「静夜〜〜〜!!」

 明蓮の声が遠くで響いていた。

 

「ただいまー!」

 玄関を開けて静夜は家の中に入る。

台所に差し掛かると、

「静夜。お帰りなさい」

「……!! 八戒! どうしたの? 随分早いわね」

「ええ。今日は午前中に終わる日でしたから」

「あ、そっか。今日だったっけ」

 決まり悪そうに笑って答える。

「そういえば、今日は早かったですね。静夜も」

「うん。合コンに誘われたんだけどさ、面倒だから逃げてきた」

 お金もかかるしね、と付け加える。

「貴女らしいですね」

 にっこりと笑ってしかしどこか呆れているように言っている八戒に静夜は腰に手を当てて答える。

「だって、この家の家賃だって払わなくちゃいけないんだもの。必要以上にお金はあまり遣いたくないの」

「そんなに気をつかわなくても」

 八戒が苦笑すると同時に再び玄関のほうからドアが開く音がした。

どたどたと走ってくる音がしたかと思えば、台所にひょこっと顔を出したのは金の眼をクリクリさせた少年だった。

「お帰りなさい、悟空」

「おっかえりー」

「あれ?…八戒はわかるけど、なんで静夜がいるんだ?今日バイトじゃなかったっけ?」

「うん。そうだったんだけどさ、急用が入ったとかで店の人が代わってくれって言ってから、代わったんだ」

「あー、そうなんだ」

 傾げていた首を戻して悟空は頷く。

不意に静夜は悟空の後ろを見て目を見張る。

「三蔵…いたの?」

「……いちゃ悪いか?」

 不機嫌そうに静夜を見る三蔵。

「そうじゃないよ。いつも悟空と一緒になんか帰ってこないから。びっくりしただけ」

「もうじき、中間考査があるんでな。問題を早めに作るためだ」

「あ、もうそんな時期なんだ」

 静夜は意味ありげに悟空を見た。

「大丈夫? テスト?」

「大丈夫だって、かわんなかったら静夜か八戒に聞くからさ」

 三蔵とは言わない。

そう言った日にはハリセンが飛んでくるからだ。

「いいよ。あたし文系は得意だから」

 静夜がにっと笑ったそのとき、携帯の音が鳴った。

着メロからして静夜のだとわかって彼女は携帯を手にとる。

「はい……、あ、なんだ、悟浄か」

『なんだはないだろ? なんだは。きちんと着信見ろよ、お前は』

「わりわり。んで、どうしたんだよ」

『今、何処にいる?』

「ん?家にいるけど……それがどうかした?」

『別に〜、ただ聞いただけ。今からウチに帰るわ』

「うん…分かった」

 携帯を切る瞬間に「マジかよ!?」という声が聞こえたような…。

「悟浄からですか?」

「うん。どうやらあいつも合コン断ったみたいだな」

 八戒に笑い返すと彼もそれを返す。

「そうですか…それじゃあ、早いところ夕食を作りませんとね」

「あたしも手伝うよ。今日は珍しく宿題ないから」

「そうですか。それじゃあ、お願いします」

「お前は勉強だ、悟空」

「わかってるよ」

 八戒と静夜がにこっと笑い、悟空が三蔵の放つ言葉に不貞腐った答えを返す。

これがいつもの彼ら。

今まで続いてきて、これからも続いていくだろう。

 

そんな日常

 

 

 

 

 

 

Fin


あとがき

やっと、パロ最遊記が出ました。

静夜「長かったな」

八戒「anamは計画性がないですからね」

いや〜それほどでも(^^)

悟浄「誉めてねえっての」

悟空「八戒に勝てるのってもしかしてanam?」

三蔵「ただバカなだけだ」

(そんな会話を無視して)

ちょっとしたネタは頭の片隅にあるから、今度は早く出来る!!    ……かも

「「「「「なんなんだその小声で言った言葉の意味は!!!」」」」」

 

2001.5.25

 

 

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