もう

ホント

なんて言ったら良いか…

 

 

 

クラウドちゃん

 

 

 

ここ数日、あまりアイテム整理をしていなかったことを思い出したナディアはちょうど暇だしとアイテムの整理を行っていた。

アイテム、武具、マテリアなどを整理しているとバサッと何かが落ちる音。

何が落ちたのかと目を向けると、そこにはキーアイテムが入っているアイテム入れが。

キーアイテムといえば聞こえは良いが、実際は一回使った後はあまり使えないアイテムというのを入れる。

ハッキリ言って『荷物がかさばって邪魔』なアイテムである。

使う機会が滅多に無いのでナディアも最後の最後で整理しようと思っていたのだが、落ちてしまったものはしょうがない。

いったん手元の作業をやめてキーアイテムのほうへと近づくと、キーアイテム入れから微かに何かはみ出ていた。

「あら?」

 不審にと思って近づいてみると、どうやらそれは金色のナニからしい。

一体なんだろうとと金色のソレを引っ張り出して、止まった。

 

かつら、だった。

 

しかも金の三つ編みが可愛らしい美しいブロンドのかつら。

ナディアは数回瞬きをしてタダ呆然とする。

なぜ、こんなものがアイテムに…?

意味が良く解らないけど、とにかく仕舞わないと。

ナディアはしっかりとブロンドのかつらを持ちアイテム入れをきちんと開けると、再び止まった。

偶然にも落ちたときに姿を現したのだろう、そこには紫のドレスとダイヤのティアラが。

紫のドレスの独特の光沢からして素材はきっとシルク―しかもかなり上質―だろう事は一目瞭然であり、ダイヤのティアラに関してもカットが美しい

見事なものであった。

それだけでも驚きなのに、ほかにもコロンやらランジェリーやらゴロゴロ出てきてますますナディアの頭は混乱していく。

「え、え?」

 どうしてこんなものがこんなところにというか一体誰がこれを着たのだろう?

「ディア」

 いやそれよりもなんでこんなに上質で良いものがなぜ誰にもあまり見られないようなこんなアイテム入れにしかし一体誰のものだこれは…

「ディア!」

「あ、はい!」

 馴染みのある声で呼ばれ慌てて振り返ると頬を少し膨らませたエアリスが立っていた。

「もう、ディアったら。呼んでもぜんぜん返事、しないんだから」

「あ、ごめんなさい。ちょっと唖然としてて」

 頬を膨らませているエアリスにナディアは苦笑を浮かべて謝る。

エアリスはそんな苦笑を浮かべるナディアを見て小首を傾げた。

「唖然? どうしたの?」

「実は…」

 そう言いつつ、ナディアは体を少しずらしてエアリスにも自分が見つけたモノを見せる。

「あ…」

 エアリスが小さく声を上げているのを感じつつ、ナディアはもう一度アイテムを見た。

「アイテムの整理をしていたら偶然見つけて…。一体誰が何のために試用したのか考えてたらワケが解らなくなって………エアリス?」

 スクスクとエアリスの笑い声が聞こえてきてナディアはもう一度エアリスのほうに向き直ると何故か彼女は腹を抱えて肩を震わせていた。

「エ、エアリス…?」

 これにはナディアもビックリして呆然とエアリスの名前を呼ぶ。

エアリスはとても愉快そうにしばらく笑っていたが何とか笑いを止めてナディアと同じ視線にしようと思ったのかしゃがみこんだ。

一体、何がそんなにおかしいのだろうとナディアが首を捻っていると、エアリスは目尻に溜まった涙を拭いながら話し出す。

「急に笑い出してゴメン。でも、ね。こんなところにあったんだって、思ったら…。思いつかなかったなぁ」

「エアリスはこれがなんなのか知ってるんですか?」

 身を乗り出して尋ねたナディアにエアリスは笑顔で頷いた。

「うん。実際にこれが使われたの、見たし」

 実際に見た、という言葉にナディアの好奇心が動き出す。

「一体、何が起こったんですか?」

 興味津々のナディアにエアリスはそれはもう楽しそうに話してくれたのだった。

 

 

笑った。

 

 

しかしよく考えてみると、凄く似合うと思ってしまった自分はイケナイ子だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

アイテムの整理が終わりフラフラしているとクラウドに会った。

「あ、クラウド」

「ナディアか、どうしたんだ?」

「ちょっと散歩を」

「そうか…どうしたんだ?」

 急に笑い出したナディアにクラウドが怪訝な表情を浮かべる。

ナディアはちらりとクラウドを見て再びクスクスと笑う。

 

 

 

これならば、確かに選ばれてしまうかもしれない。

 

そう女性である自分でさえ思えるほどに彼は綺麗なのだから。

 

 

 

 

「なんなんだ…」

 クスクス自分を見られて笑われているとなると、やはり気分は良くない。

憮然とクラウドが呟いた瞬間ナディアはクラウドへと顔を上げ、これまでに無いほどの笑顔でその名を呼んだ。

 

 

 

「クラウドちゃん」

 

 

 

 

「!!」

 

 

 

そのときのクラウドの

どうしてその名を、もしかして見たのか!?

という彼の本当に焦った声を背に、ナディアは本当に楽しそうな笑顔で散歩を続けたのであった。

表情を見なかったのは、見なくても解ったから、である。

 

 

 

 

 

 

 

Fin


あとがき

 

FF7 35THEMES 07『クラウドちゃん』でした。

このタイトルを見た瞬間から、どうしてもナディアがキーアイテムからブロンドのかつらを見つけて驚くシーンが離れなくて。

やっぱりネタバレするのはエアリスの役目だろうと思ってエアリスの登場です(笑)

ティファでも十分に楽しそうにやってくれそうですけど、彼女の場合は戸惑いのほうが大きそうですしね。

実際に女装クラウドを見たのは本人抜きにしてエアリスとティファしかいないんですよね。

きっとクラウド他の人には絶対に言って無いんだろうなぁ、きっとキーアイテムの中でも絶対に女装道具は奥のほうに仕舞ってそうだなぁと書いてる最中思ってました。

だったら捨てれば良いのに、とも思いましたがキーアイテムは捨てられないという悲しい現実(笑)

でもやっぱり似合うと思うんだよね、クラウドの女装。

あ、やべ!

クラウドがアルテマウェポン片手にこっちに向かってきてるのでこれで失礼します。

 

 

ちなみにナディアは全部教えてもらいましたよ。

ええ、女の子二人差し置いて某ドンがクラウドを選んだことまでバッチリと(笑)

 

 

 

 

2006.1.25

 

 

 

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